BCP(Business Continuity plan:事業継続計画)の重要性
ご存じの通り、元日に能登半島で最大マグニチュード7.6の地震が発生し、多くの方々が亡くなり今も数万人の方々が避難しています。亡くなられた方々の冥福を祈ると共に、避難中の方々が一日も早く元の生活に戻れるよう祈りたいと思います。
コロナウイルス、国際紛争、サイバー攻撃、そして地震と、命の危険を身近に感じる事象が近年多発しています。このような時代に、企業人として社会のインフラであり生活の拠り所となる企業の事業活動をどのように継続させていくのか、真剣に考える必要性が高まっていると感じています。そこで今回はBCP(事業継続計画)の重要性について改めて考えてみたいと思います。
BCPとは?
ご存じの方も多いと思うので簡単におさらいですが、BCP(Business Continuity plan)は事業継続計画と訳され、企業が予測困難な災害に直面した時に社員の安全を図り事業の最低限の継続と早期復旧を目指す計画の事を指します。BCPが従来からあった防災対策と異なるのは、最低限の事業の継続と早期復旧を目的として策定される計画だという点です。
事業の継続が危ぶまれる事象が発生しても、BCPを策定しておくことで社員の安全を確保し、最低限の事業を継続して早期復旧を果たせれば顧客の信頼を維持し、取引先や株主からの評価も高まります。日本では2011年の東日本大震災以降、関心が高まり大企業を中心にBCPの策定がすすみました。
BCPは形骸化しやすい
一方でBCPの形骸化が近年問題となっています。上述したように多くの会社ですでにBCPが策定されましたが、しばらく大きな災害がないとすぐに忘れるのが人間の性です。
さらに事業の継続を危ぶむ災害の種類が多岐にわたるようになりました。コロナ禍の社会に与える影響など、2020年以前に誰が予測できたでしょうか?
このように普段は意識しないので風化しやすく、さらに災害の種類が従来の想定の範囲外の種類の及ぶなど、BCPは一度策定したから安心というものではなく、絶えず見直しが必要なのは明らかです。
本番は忘れた頃にやってくる
さらにBCPを定期的に見直したとしても、それが担当部門だけの仕事にとどまっているようでは意味がありません。一番難しいのは、経営層を筆頭として社員一人ひとりが常日頃からBCPの存在と内容を意識し続けられるかという点にある思います。
災害はある日突然何の予兆もなく発生します。一年に一回のビルの防災訓練も大事ですが、それだけでは不十分です。例えば会社のメールも電話も通じない。。そのような事態になった時の社員の安否を確認する手段は用意してありますでしょうか?
各論を言い出したらキリはないのですが、災害発生時の最低限の事業の継続と早期復旧は決して簡単ではない点は容易に想像がつくと思います。
日頃の意識の保持が大切
繰り返しになりますが、BCPは定期的にでも見直しが必要で、さらに社員のBCPへの意識をいかに保持し続けるかがとても大切です。訓練も担当部署まかせではいけません。日頃日常業務だけでもお忙しいのは分かりますが、不定期にでも上司と部下の日常の会話の中で、あるいは部門単位の会合等でBCPについて意識して話し合う事が大事なのではと思います。
万一BCPで想定していない災害が発生したとしても、社員の安否確認から始まる手順は変わりません。いざという時に冷静に対応するためにも、有効なBCPは初動の指針として機能します。
顧客や取引先、地域社会、さらには社員の家族をいざという時に守るためにも、今一度御社のBCPを見返してみることをおすすめしたいと思います。
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