ERPって?
ERP(Enterprise Resource Planning)という言葉を耳にされた方は多いと思います。日本で1990年代に紹介されたときに“企業資源管理”などと直訳したものですから意味不明になってしまいましたが、素直に統合業務ソフトウェアと言う方が実態に近く、今ではERPという3文字の方が通りがよくなりました。
その名の通り、会計、購買、販売、生産、人事等の企業内の業務で重複する業務プロセスやデータを統合して一元管理することで企業活動の状況を可視化できるのが統合業務ソフトの導入メリットですが、中途半端に取り組むと痛い目にあうこともよく知られています。もちろん適切なリスクをとって取り組めば会社の経営基盤として大きな効果を得られます。そのようなERP導入を検討するにあたって大事なポイントがいくつかありますので、ここではその中で特に重要なポイントをご紹介出来ればと考えています。
すでに多くのメディア等で言い古されたポイントも多いのですが、いまだにこれらの重要ポイントを軽視してうまくいかないERP導入プロジェクトの話しをよく聞きますので、すでにご存じの方にもおさらいの意味でお付き合いいただければ幸いです。ここでは特に大事と考えるポイントを3点だけご紹介させていただきます。
大事なポイント1つ目
大事なポイントの一つ目は導入目的、期待する効果を明確にする、です。あたりまえ過ぎると感じた方が大半と思いますが、導入プロジェクトの過程でいつの間にかERPの導入と稼働が目的になってしまい、最初に立てた目的が置き去りにされているのがどの失敗プロジェクトにも共通しています。導入プロジェクトが難航した時に、プロジェクトチームだけでなくマネジメントと共に何度も確認しあう、プロジェクトの“憲法”と思って腰をすえて策定することがとても大事です。
大事なポイント2つ目
大事なポイントの2つ目は、ERP導入=システムの置き換えではなく、業務プロセスの改革と心得ておく、です。極力ERPの標準機能を使う、標準機能で合わないところはアドオンするというのはどのERP導入プロジェクトでも方針として策定されると思います。しかし実際にユーザー側と会話を始めると、すぐにそう簡単にいかない現実に直面します。
無理に標準機能を押し付けると、かえって生産性が落ちたりすることもあります。何を変え、何を変えないのか、判断がつかない時にどう意思決定するのか、プロジェクト開始前にあたりをつけておく、意思決定プロセスを明確にしておく等、後々ユーザー側にしこりを残さないためにもプロジェクト開始前に慎重に検討しておく必要があります。
大事なポイント3つ目
大事なポイントの3つ目は、自社にあったベンダーの選定を行う、です。ERP導入プロジェクトの成否は、ERP導入をサポートしてくれるベンダーの力量に大きく依存しているのが現実です。ただ、知名度やシェアだけで安易に選定するのは絶対に避けるべきです。グローバルで数万人のサポート人員がいるベンダーを選んだところで、その数万人が自社に来てくれる事は絶対にありません。
実際に自社のプロジェクトにどのような人が参画してくれるのか、うまくいかなくなった時にどのような対応をしてくれるのか、すでに導入済の会社に評判を確かめる等、プロジェクト開始前に地道に情報を集めるべきです。決して紙の提案書の比較だけで選んではいけません。ERP導入プロジェクトは人と人とが協力しあう、極めて人間くさい作業です。お互いに稼働まで一緒に付き合えるパートナーなのか、腹落ちするまで会話してください。
稼働後の保守運用体制を稼働前から検討しておく等、他に考慮すべき重要ポイントは多々ありますが、紙面の関係上今回はここまでとさせていただきます。また機会があればご紹介させていただきたいと考えております。
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