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執筆者の写真深澤 チトラートン

VAT(付加価値税)の還付請求


タイの会計・税務の基礎知識、会計事務所の選び方、定評ある会計ソフト・ERPシステムの説明等を分かり易く解説。

タイの付加価値税VATの還付請求


 代表的な前払源泉税の還付請求の他に、タイの付加価値税(以下「VAT」という)も還付請求することができます。前払源泉税の還付請求は、確定申告した事業者が対象であるのに対し、付加価値税/VATの還付請求ができるのは、原則課税を適用している課税事業者に限られます。


 日タイにおける還付理由の共通点として、輸出取引や赤字経営、大規模設備投資を行ったことによる付加価値税/VATの支払超過分(売先から預かった付加価値税額<仕入先に支払った付加価値税額)があげられます。その他には、タイの場合、毎月のVAT申告による繰越仮払VAT金額の誤入力やVAT過剰納付が還付理由の対象となります。


VAT還付請求の手続き


 日本で課税事業者が消費税の支払超過分の還付を受ける方法として、確定申告時に所轄税務署に下記表の還付申告の書類を提出し、一般的には申告日より1ヶ月~2ヶ月の間に、請求した消費税が指定口座に振り込まれます。

 一方、タイの場合、解散清算等におけるVAT登録事業者の抹消前日までは、請求時期や請求回数を問わず、所轄税務署に専用還付請求申告書(Khor.10様式)の提出が可能です。特に、輸出事業者は資金繰りの関係上、毎月、還付請求を実施する傾向があります。ただし、還付請求を申告後、所轄税務署による税務調査の対象になるため、厳格な会計と税金処理が求められます。還付請求を申告してから約1年~2年の税務調査を得て、還付金の評価が伝えられます。追徴課税があった場合、追徴課税納付後、請求した消費税が指定口座に振り込まれます。


タイの税務調査への対策


 タイの税務調査における最大リスクは売上過少申告と仮払VAT過剰申告による仮受VATの追徴課税です。この追徴課税を回避する方法として、粗利率の管理やTax Invoiceの記載内容の確認をお勧めします。特に売上VAT(Sales VAT)と仕入VAT(Purchase VAT)の月次税額報告書やTax Invoiceの原本保管、売上と原価マッピング表と個別売上総利益の計算、月次納税申告書(P.P.30様式)の売上申告と確定申告書(P.N.D.50様式)の売上認識の検証は重要です。VAT還付を実施する前に、税務調査のリスクと資料提供の準備を考慮する必要があります。


付加価値税の還付請求 - 日本とタイの違い


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 
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