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ジョブ型雇用について


ジョブ型雇用

ジョブ型雇用とは?


 経団連が2020年の経営労働政策特別委員会において、「日本型雇用システム(メンバーシップ型雇用)の見直し」と「ジョブ型雇用の推奨」を提言したことで、日本企業の中でもジョブ型雇用に対する関心が高まってきました。ジョブ型雇用とは、企業の中で必要な職務内容(ジョブ)を明確に記述(これをジョブディスクリプションといいます)した上でその職務に適したスキルや経験を持った人材を採用して処遇する雇用制度のことを言います。


 ジョブ型雇用自体は欧米では以前から一般的な方法で、賃金も基本的には職務の内容に決まり、専門性及び希少性の高い職種ほど年齢や社歴に関係なく賃金が高くなる傾向あります。したがって年功序列や終身雇用を人事施策の根本方針とする(これをジョブ型との対比でメンバーシップ制と呼びます)日本企業の間では普及してこなかったのですが、デジタルトランスフォーメーション、グローバリゼーションやSDGs/ESGへの対応等、経営環境の急激な変化に社内人材育成では間に合わないとの危機感から、日本企業の中にも日立製作所や富士通のような大企業でも急速にジョブ型雇用制度の導入を表明する企業が増え、ビジネスパーソンの注目を集めるようになってきました。


 以前のコラムでご紹介した人的資本経営も、人材を雇用の確保を最優先して処遇する対象から企業価値の向上に資する資本の一つと捉えなおす発想でした。新卒を一括採用して長い時間かけて育成する従来の雇用制度では急激な経営環境の変化に動的に対応できず、またグローバルな人材獲得競争に対応するためにも、今後も多くの日本企業でジョブ型雇用の採用が増えるのは間違いないと思われます。


先行各社の状況


 今年の年初からさかんに日本経済新聞や各種経済番組等で取り上げられているのでご存じの方も多いと思いますが、日立製作所、富士通、資生堂、カゴメなどがジョブ型雇用の先進事例としてよく取り上げられているようです。しかしこれらの日本を代表する大企業も年功制や終身雇用(以下これらの制度をメンバーシップ制と総称します)と決別したわけではなさそうです。まずは社内でジョブディスクリプションを開示して社内公募から取り組み始めたり、ジョブ型雇用が一般的な海外のグループ会社での本格的な導入といった段階が大半のようで、全社的にジョブ型雇用を導入するにはまだ相当な時間がかかりそうです。


日本企業がジョブ型雇用を採用する上での課題


 ジョブ型雇用が進展するためには、その前提として社会全体で人材の流動性が高まって広く外部に経営環境に応じた人材を求めたいという企業のニーズが充足されることが必要です。一方、今までメンバーシップ制になれた既存の社員にとっては、若いころは将来は年功で給料やポストも上がるからと言われて一生懸命働いたのに、ようやく果実を手にする年代になってジョブ型雇用だと言われても納得できないという人も少なくないと思われ、急激な制度変更は既存社員のモチベーションを低下させかねません。


 言葉を選ばずに言えば、ジョブ型雇用を推進しなければ経営環境の急激な変化に対応できる人材を確保できない、一方で日本の企業社会の根本ルールとなっているメンバーシップ制とも簡単に決別できない、というジレンマに陥っているのが大半の日本企業のおかれている実情ではないでしょうか?識者の中には日本でジョブ型雇用が一般的な制度になるには10年から20年はかかると予測している方もいるぐらいです。


今後の日本企業及び従業員個々人としての対応


 日本企業が成長するためには、今後もグローバル化を推進しなければならない現実を考えると、ジョブ型雇用の採用は避けては通れないテーマだと思われます。そうは言っても制度の導入には課題も多いため、まずは先行している企業をケーススタディーとして自社の実情に適合しそうな施策から取り入れ始めるのが現実的な対応かと思われます。


 一方、従業員個々人にとっても今後の雇用形態が変化することを想定しておくことが大事です。自分のスキルや経験が外部でどのぐらい通用するのかまず自らたな卸しを行い、自分の強みの補強や弱みの補完のための教育プログラムを計画して着手するのがいいと思います。スキルの習得は一定の時間がかかるので、着手は早ければ早いほどいいでしょう。また自分では外部でどの程度通用するのか分からない、自分の強みや弱みもよく分からないという方は、転職エージェントに相談してみるのもいいかもしれません。自分では当たり前と思っていたスキルや経験に案外希少性があったりすることも第三者の視点で見ると気が付いたりするものです。


 ジョブ型雇用をはじめ、人事制度/施策は経営の根幹に関わるテーマですので今後も折をみて当コラムで取り上げられればと考えております。


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