
設備投資による節税対策?
例えば、今期の営業利益は500万バーツの黒字が予想されるため、法人税を節税したく、決算月に機械設備または社用車の購入を検討している経営者がいるとします。しかし決算月に機械購入をしてもその機械や社用車の一括計上ができないため、節税対策になりません。
固定資産の計上要件
タイでは1年を超えて使用できるものは金額に関わらず全て資産に計上する事となっています。また、金額に関する規定はありませんが、実務上では1,000THB以上のもので1年を超えて使用できるものを資産計上しています。
固定資産は有形固定資産と無形固定資産の種類があり、前者は建物や機械、パソコン、工具器具が代表的なものであり、後者はソフトウェアや特許権、のれんが該当します。
償却開始時期
歳入法典第65条2項(2)によれば、「資産の減価償却費及び減耗損は当該資産の取得からの期間に応じて控除できる」と有りますが、実務上、機械の据え付け等が終わり稼働可能な状態になった時から償却開始と解されています。因みに日本では事業の用に供した時からとなっており、若干違ってきますので注意が必要です。
減価償却
減価償却限度額は勅令第145号1984年の資産の減耗償却費及び減価償却費の控除に従って、減価償却の基準が設定されています。例えば、建物(仮設建物を除く)については年間償却限度額が取得価額の5%、土地及び物品以外(機械もここに入ります)については年間償却限度額が取得価額の20%といったように、建物及び機械の細目ごとの償却限度額は規定されておらず、日本に比べて大まかな分類しかないという事になります。
例えば、年間償却限度額が取得価額の20%という事は定額法に直すと5年で償却という事になりますが、これは最短で5年という意味で、実務上調査が入った場合には資産の実態に合わせた償却期間を設定するよう是正される場合が有りますので、20%でしたら耐用年数の5年以上で実態に合わせた償却年数を設定するという点に注意が必要です。
中小企業の特例
土地を除く固定資産が2億バーツ以下及び従業員数が200人以下の会社については以下の資産について、特別償却の計上が認められています。
① 工場建物
初年度25%を償却し、以降の残存価額は年間5%以内で減価償却。
② 機械設備
初年度40%を償却し、以降の残存価額は年間20%以内で減価償却。
③ コンピューター及び周辺機器、ソフトウェア
取得日に40%の償却、以降の残存価額は3年以内で減価償却。
その他
5,000バーツや10,000バーツ以上の一定金額において、資産計上規定を作成する企業がありますが、歳入法に反する経費計上の場合、これまで計上した費用は経費不算入に判定される可能性がありますので、留意が必要です。
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