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タイの月次会計で最低限確認すると良い3つのポイント


タイの会計業務

タイの月次会計とは


 ここでいう月次会計とは、財務諸表を毎月一回作成することを言います。財務諸表を作成し、会社の財政状態や経営成績を把握することは、その会社を経営する立場にある経営者にとっても重要です。


 タイにおいては、非上場企業はこの財務諸表の作成は毎年一回の決算期において実施することが求められています。逆に言えば、毎月財務諸表を作成すること、即ち月次会計は求められていません。


 一方で月次の税務申告は求められており、その作業を優先しなければいけない場合もあるという事情もあり、結果として、月次会計の精度があまり高くなかったり、最悪月次会計がなされない場合もあります。そうは言っても、財務諸表は経営者にとって重要な情報です。


 そこで本稿ではタイで月次会計を行う際に、仮にそれが完全な情報ではないとしても、最低限確認すると良い3つのポイントについて解説します。

 

① 現金・預金残高の推移が認識通りか。

 

 会社を継続させる上で一番大事なのは現金・預金です。利益が出なくてもすぐ会社がつぶれることはありませんが、現金・預金がなくなれば会社がつぶれます。


 勿論月次会計上、収益情報やこれに基づく利益の値、そして財政状態を正確に把握しながら経営をしていくことができるのであればそれに越したことは無いですが、月次会計上で会社の利益情報を100%正確に作成することは実際のところ困難を極めます。


 一方、現金・預金の数値は判断の余地なく現金現物や、預金残高(例:オンラインバンキングの残高データ)を見れば正確に把握できます。


 このため、まずは月次会計で確認するべきは現金・預金残高です。そして、この数字の推移に違和感がないか、特に想定しない現金・預金の減少がないことを確認することは、マネジメントとしてまず実施すべき月次会計上のポイントになります。

 

② 売上高は経営者が想定している値とほぼ同値か。

 

 前項記載の通り、タイの月次会計上会社の利益情報を100%正確に作成することは実務上なかなか難しいのですが、その理由として、書類(特に請求書)に厳格に準拠した会計記帳慣行が見られることがあります。


 これは、要するに『書類がないなら記帳しない』というということなのですが、例えば月次会計を月初10日で締めたいが、その月に計上すべき仕入先からの請求書が届いていないという場合、タイの会計実務上は『見積で計上しよう』ではなく『だったら計上しない』と判断する状況がしばしばみられます。このため、書類が届いているか否かにより、月次の利益認識のタイミングずれが発生することになります。


 一方、売上高は自社で発行する請求書に基づいて認識されているはずですから、自社業務のエラーがない限り計上できない、ということは無いはずです。なので、せめて売上高は、思っている数値に限りなく近似しているかどうかを確認するようにしましょう。

 

③ 税引前当期純利益率に大きな違和感がないか。

 

 前項の通り、月次会計で利益情報を100%正確に作成することは簡単ではありません。なので、せめて税引前当期純利益率(最終利益)の数値を見たときに経営者として大きく違和感がないか、ということは確認しましょう。勿論粗利率で見ても良いですし、営業利益率で見てもかまいません。


 一方、月次会計上『本来売上原価で計上されるべき金額が販売費及び一般管理費で計上されている(逆もまたしかり)』といったことも発生します(結果として、粗利率が変な数字になる)ので、何はともあれ、最終利益に違和感がないかを確認しましょう。ここで違和感がある場合、前項記載の通り、何か大きな費用の計上にずれがあるといった可能性も考えられますし、さすがに大きな費用の計上のずれは、やっぱり月次会計上も修正すべきだ、ということにもなるでしょう。重ねて、せめて最終利益は確認しましょう。

 

どうすればよいのか?


 ここで記載した3つのポイントはある意味基本的な内容です。一方、『これまで財務諸表なんて読んだことない』『今までタイ人にまかせっきりで何を見ればよく分からない』といった方であれば、まずはこのポイントを押さえるだけでも、かなりのリスクを抑えることができるはずです。


 また、このポイントを押さえた後、月次会計情報の精度の向上の余地があり、それを社内で完全に実施するのが難しいことが分かった場合は、一部の業務を外注したり、必要に応じて外部の専門家の意見を聞く、というのも有効な策になりえるでしょう。本稿が皆様がタイでビジネスをする上での一助となれば幸いです。 



【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。

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