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タイの会社が配当金を出す際によくあがる質問事項


タイの会計業務

タイの会社が配当金を出す際によくあがる質問事項 Q&A


 日本の親会社がタイの子会社(非公開会社)への投資回収として、配当金受取が一つの方法です。タイの子会社における配当金を出す際に、よくあがる質問事項をQ&A形式でまとめます。 


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Q:定時株主総会決議に間に合わず、配当金を実施したい場合、どうしたらよいですか?


A :臨時株主総会を開催し、配当決議を行います。

総会議事録には配当金の詳細(当該会計年度、1株あたり金額、株式数、配当金額、法定準備金、配当金受領株主、配当金払込日程等)の記載が必要です。


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Q:期末決算の配当は会計監査終了前に実施可能でしょうか?


A:当期純損益や繰越利益剰余金が未確定のため、会計監査終了後に行われる定時株主総会

の決議を得て、配当金支払を実施することが望ましいです。


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Q:中間配当実施後、当期末に予想外の欠損が生じ、期末決算の繰越利益剰余金がマイナスに転じた場合、会社が株主に支払った中間配当はどうしたらよいですか?


A :臨時株主総会を開催し、全株主に詳細説明をし、配当返還請求を実施してください。

ただし、民法商法第1203条に基づき、善意の株主には、返還義務はありませんので、

中間配当は慎重に行う必要があります。

一方、納付済源泉税の還付請求は税務監査のリスクがあるため、還付請求可否について、

社内で検討する必要があります。

 

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Q:会社が計算ミス等により、繰越利益剰余金を上回る配当金を実施しました。

この場合、会社はどうしたらよいでしょうか?


A:上記の回答と同様に、会社は臨時株主総会を開催し、全株主に対し、配当返還請求の実施が必要です。


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Q:中間配当を実施後、当該事業年度の定時株主総会はどうしたらよいですか?


A:定時株主総会開催時、取締役会で承認した中間配当の詳細を株主に報告してください。


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Q:第1175条1項の株主総会招集時の新聞公告に関して、法改正により、無記名式株券を発行している会社を除き、新聞公告の掲載義務が無くなりました。当社は付属定款(規則)で株主総会招集通知の新聞公告を定めていますが、この場合、新聞公告は不要でしょうか?


A:株主総会招集通知の新聞公告不要に関して、2023年2月7日に民商法改正(第1175条)が 施工されましたが、付属定款で新聞公告を定めている会社はその対応も有効のため、新聞公告が必要です。


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Q:新聞公告が必要な場合、そのルールを教えてください。


A:総会開催日の7日前迄に地域の新聞に1回以上公告してください。この7日間は、新聞公告日と総会開催日をカウントしません。ただし、会社の付属定款に新聞公告の期間条件(例:30日前迄等)が定められている場合、その条件に従って日数を計算してください。


例:新聞公告日 4月22日

  +7日間

  株主総会開催日  4月30日


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Q:無記名株式 (株主の氏名が株券上に記載されていない株券) の株主に配当した場合の対応を教えてください。


A:民商法第1204条により、無記名株主に対し、決議日より14日以内に、決議で確定された配当の詳細を地域の新聞に1回公告を実施しなければなりません。


例:株主総会開催日  4月30日

  新聞公告期間  4月30日~5月13日


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Q:会社解散後の未処分利益を株主に分配する場合、配当金扱いになりますか?


A:会社解散後に残っている利益(未処分利益)を株主に分配する場合、歳入法第40条(4)(b)の利益の配当ではなく、歳入法第40条(4)(f)の解散時剰余金の分配に該当します。


 この場合、未処分利益を株主へ払込の際に適用する源泉税税率(個人株主は累進課税0%~35%、法人は15%)も異なりますので、会社解散をする前に、計画的に未処分利益の 確認と税金計算のシミュレーションをお勧めします。


 

 今回のコラムはいかがでしたでしょうか。


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