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タイで経営分析をする上で役立つ3つのポイント その2


タイの会計業務

タイの経営分析とは


 事業を行う上で、自社の事業に注目してその収益性や成長性を検討する、であったり、他社と比較してどうなのか、さらにはそもそも業界全体の動向はどうなっているのか?といった経営分析をすることは非常に重要です。


 このコラムでも一度タイで経営分析をする上で役立つ3つのポイントについて説明しましたが、タイでは多くの情報を公表情報から獲得することができ、かなりの深度で経営分析を行うことが可能です。本稿ではタイで経営分析を行う場合に知っておくと役に立つ3つのポイントについて、追加で解説します。

 

① 他社との財務情報比較は公表情報で可能

 

 タイで登記されている会社の財務諸表が無料で閲覧できることは前回も説明しました。同業他社の情報を直接検索して比較するとその同業他社単体の動向が見えてきますし、その作業を複数の他社について行うと、その複数の他社が属する業界動向も見えてきます。


 例えば、弊社が属する業界を『日本人が運営している会計コンサルティング会社』であると仮定すれば、その属性の会社を複数検索することで、『日本人が運営している会計コンサルティング会社』の動向が見えてきます。さらには、同業ではないが、何か自社に関連がある会社(例:同時期に創業した会社、サプライヤー、クライアント、何らかの会合を通じて会った方の会社)の財務情報を見るのも実は非常に勉強になります。色々な視点から比較をしてみましょう。

 

② 財務情報以外の情報も実はあちこちにあるので活用可能

 

 前項にも関係しますが、何か自社に関連がある会社については、そのやり取りの中で財務情報以外の情報(例:人事情報、新しく始めた取組、マネジメントの異動)も多く得ているかと思います。また、例えば従業員数といった一人当たり売上・一人当たり利益を推計する上で重要な情報も、商工会議所の会員専用ページなどを見れば掲載されています。


 さらに言えば、Linkedinのようなビジネス系SNSを使えば、経営者や従業員はどういったメンバーで、どういったバックグラウンドなのか、という情報もわかります。そしてこれはいうまでもありませんが、その会社のホームページやお知らせ、プレスリリースなども情報の宝庫です。こういった財務情報以外の情報を財務情報と組み合わせてみていくと、さらにその会社のことがわかり、分析の深度も深まるでしょう。

 

③ 業界情報も実はとることができる

 

 前項2つは個別企業に関する分析についてですが、タイではある業界全体の財務情報も公開されているため、業界分析も可能です。先述のデータベース内に業界全体の財務情報もまとまっているためです。


 例えば、会計事務所等(事業種別:69200)全体の2022年総売上高は373億タイバーツ(今のレートで約1,555億円)であり、これは2021年から6.2%増加していること、そして、財務諸表を登記した法人数は9,318社であり、うち利益が出ている法人が7,317社といった情報も公表されています。


 私自身、タイの会計事務所等の業界がこんなに成長しており、かつ、利益が出ている会社がこんなにも多い(78.5%が利益を出していることになるため)というのを知って驚いたのですが、ご自身のビジネスが属する業界の動向を知り、今後の戦略を立てていくというのにも役立つかと思います。

 

どうすればよいのか?


 これらの作業については勿論タイ人スタッフに委譲しても良いのですが、個人的にはご自身で手を動かすのがお勧めです。手を動かしているうちに『あれはどうなんだろう』『これはどうなんだろう』といったアイデアが色々出てくるはずで、その中でご自身の中でも知見が出てくると思われるからです。


ただ、忙しい業務の合間を縫ってこれらの作業をすることが簡単ではない場合もあろうかと思います。その場合は、必要に応じて外部の専門家の意見を聞くなどし、少しずつでも取り組まれるのが良いのではと思います。本稿が皆様がタイでビジネスをする上での一助となれば幸いです。 

 


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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