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タイの月次税務で最低限確認すると良い3つのポイント


タイの会計業務

タイの月次税務とは

 タイでは源泉税とVATについて月次での申告・納税が求められています。通常の会社が使用する月次の源泉税・VATの申告フォーム、および対象となる源泉税・VATの種類は以下の通りです。


【源泉税】

   PND. 1: 従業員への給与支払に対する個人所得税の源泉税

   PND. 3: その他の所得に対する個人所得税の源泉税

   PND. 53: その他の所得に対する法人税の源泉税

   PND. 54: 国外への支払に対する法人税の源泉税


【VAT】

   PP. 30: 一般の事業者に関するVAT

   PP. 36: サービスの輸入に関するVAT


 PP. 30については発生した月の翌月15日まで、それ以外については翌月7日までに申告・納税が必要です。ただし、インターネット申告を行う場合は、申告・納税期間が8日間延長されます。


 通常の申告・納税業務は社内の会計スタッフや外注先の会計事務所が実施していると思いますが、日本人マネジメントとして最低限チェックするポイントだけ知っておきたい、という方もいらっしゃるかと思います。そこで本稿ではタイで月次税務を行う際に、最低限確認すると良い3つのポイントについて解説します。

 

① 金額感が異常ではないか

 

 源泉税については課税取引ごとに規定の税率(例:給与については個人所得税率、国内のサービス業については3%)、VATについては課税取引について7%で課税され、その金額が月次税務でも納税されることになります。ここで、月次税務での納税金額の急な増減があるということがあれば、それには当然背景となる取引額が同様に増減したという事実がなければいけません。そういった取引額の増減に覚えがないのに変化があったということであれば、内容を確認しましょう。


 源泉税・VAT両方について明細があるはずですから、それを上から見ていって、金額の増減の根拠となりそうなものを見つけ、これは何?と聞く、ということを行い、全体としての金額感に納得がいくか確認しましょう。

 

② 月次税務に関連する会計勘定科目残高が毎月一旦0になっているか

 

 源泉税・VATはその仕組上、通常毎月発生したものを翌月申告・納税するという流れを取ります。このため、毎月発生した金額が全部翌月は精算される、ということになりますので、何もなければ月次税務に関連する会計勘定科目(例:PND.1の源泉税についての預り金科目)の残高は毎月一旦0になります。


 ここで0になっていないということは、何らかの月次税務上のエラー、例えば、月次税務で申告・納税しなければいけない金額を実際には申告・納税しなかった、あるいは、申告・納税しすぎた、ということが発生している可能性があります。特に申告・納税の漏れが発生しているとすれば、遅延金や加算税の対象になる場合もありますので、確認するのが良いでしょう。

 

③ 源泉税・VATの課税対象は適切か

 

 これは①にも関連するのですが、月次税務の金額を眺めてみて、『なんでこれに源泉税・VATがかかっているのだろう?』『なんであの取引には源泉税・VATがかからないのだろう?』という問いを立てるのも大事です。社内の会計スタッフや外注先の会計事務所は、通常月次税務を機械的に処理しますので、そもそも源泉税・VATが課税されているべき/課税されないべき、といった問いはあまり立ててくれません。


 例えば、海外に送金しているコンサルティング費用になぜ15%の源泉税がかかっているのか、国内サプライヤーへの支払になぜ3%の源泉税がかかっているのか、国外にサービスを提供しているのに7%のVATをかけなければいけないのか、等、マネジメントが立てるべき問いが見えてくるかもしれません。

 

どうすればよいのか?


 これらのポイントのうち、①、②はさっと実施できる一方、③は多少源泉税・VATに関する知識がないと難しい内容になります。他方、私がタイで税務に関する仕事に従事していて、③の結果で大きな課税上の問題になったことも少なくありません。日常の業務の中で実施するのは必ずしも簡単ではないかもしれませんが、必要に応じて外部の専門家の意見を聞くなどし、少しずつでも取り組まれることをおススメしたく思います。本稿が皆様がタイでビジネスをする上での一助となれば幸いです。 


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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