サステナビリティ経営の現在 - ESGと企業価値の新しい関係
- 鎌倉 俊太郎

- 3 日前
- 読了時間: 5分

サステナビリティという言葉を最近よく聞くようになった
ここ数年ビジネス界でやたらとサステナビリティという言葉を聞くようになったと感じておられる方も少なくないと思います。そう、一時期はやった(今も進行形ですが)SDGs、ESGの考え方の根底にあるのが、このサステナビリティ(持続可能性)という考え方です。
企業の社会的責任は利益を上げれば果たされるという考え方に対する見直しというか反省に立って、企業が長期間にわたって持続可能であることを重視するサステナビリティーという考え方が提唱され、さらにどのように各企業がサステナビリティに取り組んでいるのか、段々と単なるコンセプトからその実施と開示が義務化の段階に移行しつつあるのが現在の状況です。今回はそのような潮流のトピックについて取り上げたいと思います。
サステナビリティーのおさらい
ここで改めてサステナビリティの考え方を整理しておきたいと思います。従来企業経営は利益を上げて株主に報いさえすればといいという考え方が主流でしたが、2020年代に入って地球環境の問題や格差の問題が顕在化し、単なる株主資本主義から多様な利害関係者(ステークホルダー)への配慮を企業に求めたステークホルダー資本主義への転換が叫ばれるようになってきました。
さらに短期的な株主価値の最大化から、中長期的に社会にとって有用な存在であり続けることが企業価値を高めるとの考えに至り、サステナビリティ(持続可能性)という考え方が重視されるようなったという次第です。
具体的にはサステナビリティを担保するため、ESG、つまりEnvironment(環境)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各分野において企業が経営にあたって順守すべき事項が定められ、投資家側の企業銘柄選定の基準として実質的な企業の行動規範となりつつあります。
サステナビリティ情報と企業価値
サステナビリティは上述したように株主資本主義からステークホルダー資本主義への移行の過程で出てきた考え方ではありますが、近年ESGで求められる項目の大半は非財務情報であり、財務情報(売上、利益、時価総額等)との関連性を明らかにしようという動きが出てきました。
これはサステナビリティーを重視することは中長期的には企業価値の増大につながるという仮説の元、一部の企業が自社の取り組みをアピールする目的もあって一部の企業や研究者が始めたものではありましたが、短期的にはともかくとして中長期的にはESGで定義される非財務情報が財務情報に及ぼす影響が理論的にも実証され、世間の注目を集めるようになりました。
財務情報から機械的に算出される企業価値は瞬間風速的な値であり、非財務情報に裏打ちされた企業価値こそが中期的な企業価値を示し、だからこそサステナビリティーへの取り組みが重要だとされるようになってきたのです。
日本でのサステナビリティ開示の現状
日本では2023年3月期から人的資本に関する情報開示が始まり、さらに2027年3月期から、時価総額の大きな企業から順に全般的なサステナビリティ関連情報を開示する事が求められています。
すでに多くの企業が自主的にサステナビリティ関連情報を開示しているものの、大半の企業ではサステナビリティ関連情報と財務情報等の関連を説明しておらず、お上(金融庁)が言うから仕方なく情報を載せているという姿勢が垣間見えます。
エーザイ、日清食品、ANAなどの先進的大企業は積極的にサステナビリティ関連情報をはじめとする非財務情報と財務情報の関連を積極的に説明、開示していますが、ごく一部にとどまっているのは残念な状況です。
今後の企業対応とサステナビリティ情報への向き合い方
関連会社の数が多い大企業ではサステナビリティ関連情報を内部で収集するだけでも膨大な手間がかかります。中堅企業では情報収集の労力もさることながら開示体制を組むのも大変です。
サステナビリティ関連情報の開示を要求したら企業の体力をそぐことになった。。という笑えない状況にならないためにも、有用なサステナビリティ関連情報の開示が開示する企業側にも開示内容を見るステークホルダー側にとっても有益となるよう、バランスのいい開示内容の社会的なコンセンサスができることを期待したいと思います。
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