5,000THB基準は有効?修繕費で落とせる? ― タイ固定資産の実務ポイント
- 深澤 チトラートン

- 5 時間前
- 読了時間: 4分

当社は固定資産計上の金額を5,000バーツに設定しましたが、問題ないでしょうか?
固定資産の管理や減価償却費の計算作業を軽減するため、会社の方針として資産計上基準を設定する話はよく聞きます。例えば、物品の取得価格5,000THB以上を資産計上、5,000THB未満の取得価格は消耗品費等の経費として計上するという内容です。そして、会計監査人、歳入局に認めてもらえるよう、役員承認付の会社方針通知書を発行するパターンが多いです。
この基準設定について、以下のとおり、解説します。
会計上の観点
事例として、会社は1月に椅子1脚、税抜価格4,000THBを購入したとします。
通常、この椅子を固定資産として全額計上し、耐用年数5年間の減価償却費を算出し、毎月、減価償却費66.65THBを計上します。もし、会社が固定資産計上の金額5,000THB以上の設定を行った場合、この椅子は減価償却費ではなく、一般管理費の消耗品費等に4,000THBを計上することになります。
上記の仕訳は会計記帳の観点から問題ありません。
税法上の観点
当該椅子4,000THBは、勅令第145号1984年の資産の減耗償却費及び減価償却費の控除と歳入法典第65条3項(5)資本的支出(固定資産の購入)に基づき、会社が一括計上した消耗品費は過大計上とみなし、減価償却限度額を超えた分は経費不算入扱いになります。
※ 消耗品費4,000THB -1月~12月の減価償却費799.80THB
=3,200.20THB
=経費不算入
その他
このテーマは会計監査人の見解にも関わることから、資産計上基準の設定が承認される前に、担当の会計監査人に確認することをお勧めします。
修繕費と固定資産の違いは?
既存のモノが破損・故障があった場合、会社はその状態を回復しようと修理を行うことが一般的です。しかし、提示された請求書は固定資産計上なのか?それとも一括計上の修繕費に該当するか?悩む方がいらっしゃいます。判定基準は下記のとおりです。
修繕費
基本的な考え方は、固定資産の維持管理や原状回復のために発生した費用です。いわゆる、当該物品を元の機能的な状態に復元するものは修繕費に区分され、一括費用として計上することができます。
固定資産・減価償却費
既存の資産の耐用年数を延長させたり、生産能力を向上させたりする支出は、金額の多寡にかかわらず原則として固定資産(資本的支出)として計上し、耐用年数に応じて償却する必要があります 。
具体的なポイントとして、
① 資産の機能や価値を増加し、より多くの便益をもたらしたりする変更。
② 投資的性質を持つ費用の増築、改築、拡張、または改良目的。
まとめ
修繕費と固定資産の境界線は、単なる金額の大きさではなく、「その支出によって資産のスペックが購入時よりも向上したか」という点に集約されます。
① 原状回復・現状維持であれば「修繕費」として一括損金算入。
② 機能向上・期間延長であれば「固定資産」として、対応表に基づいた耐用年数 (一般的には5年、建物は20年など) で償却を行います 。 判断に迷うグレーゾーンについては、将来的な税務リスクを回避するため、工事仕様書や写真等のエビデンスを保管し、その性質を客観的に説明できるようにしておくことが肝要です。
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