労働法改正、就業規則はどう直す?
- 深澤 チトラートン

- 2 日前
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タイで進む労働法改正、就業規則はどう直す?
タイでは労働者の生活の質(Quality of Working Life)を向上させるための支援と近年の社会情勢を反映し、男女労働者の福利厚生制度が見直されています。
最近では、2025年12月7日 より女性労働者の産休期間は従来の98日から120日に延長されることや男性労働者は最長15日間の育児休暇を取得できるようになります。さらに、12月上旬に開催される第二読会と第三読会において、週40時間労働(現行48時間労働)、週休2日、年10日以上の有給休暇(現行年6日以上)、家族の介護のための看護休暇が審議されます。
これらの法案が可決され、法律として執行された場合、既存の就業規則を新法に準拠させる必要がありますが、正しく改定する方法のお問い合わせが多く寄せられます。
就業規則制定の基本原則
基本的には、法令で定められた基準に従って就業規則を制定しなければなりませんが、法令で定められている内容は最低基準であることから、就業規則において、会社は法令以上の利益、メリット、労働条件等を従業員に付与することができます。もし、一部の項目が法律に抵触する場合、当該項目は無効とみなされ、抵触する部分のみが執行不能になります。
法令基準の他、就業規則の中に、会社独自の規定や福利厚生に関する内容を定めることもできます。例えば、ボーナス、皆勤手当、昇給制度、服装規定等が挙げられます。
就業規則の正しい改定方法は?
会社が適正に規定を改定する権利という文言を就業規則の中に明記されているかどうかが、改定方法のポイントになります。
タイ語の記載事例として「บริษัทฯ สงวนสิทธิ์ที่จะแก้ไข เปลี่ยนแปลง เพิ่มเติม ข้อบังคับทั้งหมดหรือบางส่วนได้ตามความเหมาะสม」という表現になります。
【改定権利を有する場合】
法改正があった場合、法令に抵触しない限り、会社は従業員の同意を得る必要がなく、就業規則の変更・追加を行うことができます。
【改定権利を有しない場合】
法改正があった場合、会社は一方的に就業規則の改定ができず、従業員の同意を得なければなりません。ただし、従業員にとってより利益となる場合には、会社の権限のみで変更することができます。
なお、従業員の同意は、改定内容または範囲によって、全従業員の同意または当該従業員の同意が必要です。
就業規則の公示方法
労働保護法第110条に従い、就業規則に変更があった場合、会社は改定規則を公布の日から7日以内に、従業員が容易に閲覧できる職場に掲示することにより公布しなければならないと規定しています。この場合、労働省労働保護福祉局にその写しを送付する必要はありません。
まとめ
就業規則の作成にはコツがあります。特にスタートアップの企業において、初めて就業規則を作成する場合、改定権利を有するという文言を記載しますと、将来に生じる規則改定を的確に対応することができます。
【免責事項】
本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。
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