税務調査で困らないための会計書類の保存期間
- 深澤 チトラートン

- 2 日前
- 読了時間: 5分
更新日:13 時間前

税金に関わる会計書類の保存期間
長期に渡り、会社を運用しますと、会計書類が膨大になってきます。日々の業務で発生する領収書や請求書、帳簿類はかなりのボリュームです。「とりあえず取っておく」、「捨てるのが不安で全部保管している」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、会計書類には法律で定められた保存期間があり、必要以上に長く保管する必要はありませんが、一方で、保存期間を知らずに処分してしまうと、税務調査などで、思わぬ不利益を被ることにもなりかねません。
今回は、税金に関わる会計書類について、どの書類を・どのくらいの期間・なぜ保存するのかを、実務・法務の目線で整理してみます。
なぜ会計書類の保存が必要なのか?
会計書類の保存が必要な最大の理由は、税金の計算が正しく行われていることを証明することができ、税制優遇措置が受けられるためです。会計書類は企業が実際に仕入、販売、支払、入金、商品配送、返品等の取引が発生し、仕入VAT/売上VATが存在することを証明するものです。これらの書類を紛失した場合、税務署は当該取引に関して存在しないものと見なし、遡及的に税金を再評価することができます。
税務署が最も頻繁にチェックする書類
税務調査時にチェックされる主な書類には下記のようなものがあります。
・Tax Invoice: タイ歳入法第86/4条に基づき、内容の必須記載事項。
・納品書、領収書: 実際に物品の受け渡しがあった証明。
・支払い証憑: 振込スリップ、小切手、銀行明細書(Bank statement)。
・税金に関するレポート: 毎月のP.P.30(VAT申告)など。
・POSシステムデータ: Z-Reportやイベントレポート(毎日保管が必要)。
・契約書、見積書: 支出の理由と出所の根拠。
書類紛失等で経費の証明ができない場合、思わぬ損失や追徴課税を受ける場合があります。具体的には次のようなリスクがあります。
・仕入VAT(Input VAT)控除が不可になり、売上VAT(Output VAT)を多く納税しなければなりません。
・経費として認められず、損金不算入(Add-back)となり、法人税納付に繋がります。
・最大5年間の遡及調査・追徴。
・月額1.5%の延滞税および法律に基づく罰金の対象。
会計書類の保存方法、保存が必要な書類と期間について
保存にあたっては、書類が必要となったときに、すぐ見つけ出せるようにしておくことが肝心です。そのため、書類の年度別やカテゴリー別に区分し、案件単位で1セットにまとめて管理を行うなどの基本ルールを決めておきましょう。例えば、売上VAT・仕入VATや源泉税等の税金、支払・入金の仕訳伝票とそのエビデンス、銀行ステートメント、契約書をそれぞれのファイルに保管すると良いでしょう。
その上で、紛失・劣化対策として、紙媒体とデジタルの両方で保管や、チェック(毎月、書類が揃っているかチェックリストで確認する)も重要です。また、デジタルで管理する場合は、クラウドストレージやERPシステムの活用を検討することで、検索しやすく、紛失リスクも軽減できるようになります。
保存期間については、タイの会計法第5条と第14条により、会計帳簿とそれに関連する証憑書類は、決算日から最低5年間、保管する義務があります。例えば、2026年度の会計資料は2031年の会計年度まで保管しなければなりません。
また、歳入法第87/3条では、VAT登録事業者の義務として、VAT関連資料・VAT Report、Tax Invoiceの原本と写し、および裏付け書類を5 年以上 7 年以下の期間、保管および維持する義務が定められています。
そして、民商法第193/31条において、国の税金請求権には10年の時効期間が規定されていることから、税務調査などでは最大10年まで遡ることができると解釈できるため、税金に関する会計書類はできる限り長く、10年程度は保管しておくことが望ましいです。
例外として、減価償却費の計算に係わる固定資産台帳の保管は5年~20年、税務訴訟関連書類は訴訟が終結するまで、BOIの輸入税免除期間終了後の残存材料のストックカットに使用するBOI許可書や輸入・輸出申告書等はその処理が完了するまでの保管をお勧めします。
「とりあえず全部保存」は本当に正しい?
税務調査などを考えますと「念のため全部、保存しておく」という判断に至るのも、気持ちとしては理解できます。ただ、書類が増えすぎると、
・管理が煩雑
・本当に必要な書類がすぐに見つからない
・保管スペースや管理コストがかかる
といったデメリットも出てきます。
保存期間を正しく理解し、不要なものは適切に処分することが好ましいと言えます。税金に関わる会計書類は、「何となく保存する」のではなく、目的と期間を意識して管理することが重要です。
日々の業務を軽減するためにも、今一度、保存してある書類内容や保存のルールまたは会社の方針を確認してみてはいかがでしょうか。
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