金利を意識すべき時代が戻ってきた
- 鎌倉 俊太郎

- 2 日前
- 読了時間: 5分

金利を意識する必要が出てきた
2025年12月に日本銀行が政策金利を0.25%上げることを決めて27年ぶりに政策金利が0.75%になったことが話題となりました。一方アメリカでは段階的に金利を引き下げる段階にあり、2025年12月に0.25%の利下げがFRB(連邦準備理事会:米国の中央銀行)から発表されました。同じくタイでも同じタイミングで政策金利が引き下げられています。
金利はお金のレンタル料ともよばれ、企業や個人の行動、さらに国の財政や経済運営に大きな影響を与えます。金利の歴史は古く、紀元前18世紀のハムラビ法典に記載があり、キリスト教やイスラム教でも金利への向き合い方が具体的に教えの中にあります。
このように金利は歴史が長く、現代でも経済活動に大きな影響を与えるとされている割には実際にどのような影響がビジネスの現場であるのか、すぐには思いつかない方も多いと思いますので、ここでは企業活動への影響に限定して簡潔に整理してみたいと思います。
景気のコントロール手段
景気が好調な時はお金への需要も多く、放っておくとインフレが加速するので中央銀行はすべての金利に直接的な影響を与える政策金利を上げて景気過熱を抑制しようとします。反対に景気が悪い時には経済活動が滞ってお金への需要が減るので中央銀行は政策金利を下げて経済活動を刺激しようとします。中央銀行はその時々の景気状況を見て金利水準を操作することで景気を安定させようとしています。タイ銀行が昨年5回も利下げしたのも景気を刺激する目的が大きかったようです。
企業への影響
景気の主体は主に個人と企業です。ここでは企業に限定して金利の影響を考えると、まず金利が上がれば借入のコストが上がるため、企業は借入による投資に慎重になります。日本には無借金経営の会社が珍しくありませんが、それでは無借金の会社が影響を受けないかというとやはり影響があります。特に上場企業の株価は、理論的には将来キャッシュフローの総和を金利を基礎とした割引率で除して算定されるため、金利が上昇すれば分母が大きくなって多くの機関投資家が重視する理論株価を押し下げる方向に働きます。
その結果資本市場を通じた資金調達のハードルも上がるため、無借金経営の会社にとっても多額の投資がしずらい環境になります。また為替に目を転じると、投資資金はより高金利を求めて高金利の債権を選考するため、低金利の国の通貨より高金利の国の通貨が選好されることによって低金利の国の通貨は相対的に安くなります。現在の円安ドル高もこの傾向に沿っており、輸出主体の企業にとっては追い風ですが、小売、エネルギーといった国内消費企業にとってはコストを上昇させるので企業業績の低迷につながります。
また分かりやすい影響として、個人は住宅や車といった高額商品をローンを組んで購入するコストが上がるために買い控えにつながり、企業側にとっては売上の低迷につながります。言われてみればすぐに思いつく現象ばかりと思いますが、こうして改めて列挙してみると金利の影響範囲は広範囲に及ぶ事がよく分かります。
現実は理論通りにはいかない
金利の企業への影響をここまで考えてみましたが、日本では政策金利を0%に下げても景気は反応せずに30年近く経済は低迷しました。金利の調整だけで経済活動をコントロールできるほど現実世界はそう単純でもないようです。もっとも最近では日本でもインフレの傾向が強まっており、日本の経済状態が異常な状態から正常な状態に戻りつつあると言われています。日本銀行も政策金利の継続的な上昇を匂わせており、ある意味教科書的な金利の影響を改めて認識する必要が出てきたのが現在の状況とも言えます。
金利の影響に思いをはせて簡潔にその影響についてまとめてみましたが、今まであまり注意を払う存在ではなかった金利に対してより注意を払う必要が出てきたことは確かなようです。そのためにまず金利の動向に関心を持つことが最初の一歩です。金利の動向に関心を持つことで経済ニュースの見え方も変わってくると思いますので、普段金利をあまり意識してこなかった方にも是非おすすめしたいと思います。
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