top of page

タイ居住者に関する国外源泉所得の課税範囲の拡大について(続報)


タイの会計業務

こちらの記事で紹介したタイの税法のアップデートに関する続報です。


そもそも、どのように課税範囲が拡大されたのか


 タイの税法上、『タイ居住者が外国で稼得した所得(タイ国外源泉所得)についても、タイにその所得を持ち込んだのであれば、その際にタイで個人所得税の対象になる』という規定があるところ、これまではその所得を稼得した年度においてその所得をタイに持ち込んだ場合にのみ課税対象とする、という解釈が適用されていたのに対して、今後はその所得を稼得した年度がいつであるかに寄らず、その所得をタイに持ち込んだ場合に課税対象とするというように個人所得税の課税範囲が拡大されました[1]

 

どのようなアップデートがあったのか


 以下が重要なポイントです。

 

① 課税要否は課税所得を獲得した年度のタイにおける居住者ステータスに基づいて判断されること[2]

 

 従前の解釈上曖昧な部分があったのですが、歳入局は、ある個人がタイ居住者であった年に得た課税対象の所得をタイに持ち込む場合にその所得に対して税金を課すことを明らかにしました。他方、タイでの課税所得を持ち込んだ年におけるその人のタイでの居住者ステータスが税金の課税にどのような影響を与えるかについては明示されていません。


 これを踏まえると、タイに持ち込んだ年における居住者ステータスが居住者であろうと非居住者であろうと関係なく、所得を稼いだ年にタイ居住者であった場合、その国外で得た所得をタイに持ち込んだら税金を課すと解釈されることが推測されます。

 

② 2024年1月1日より前に発生した課税所得についてはこのルールを適用しないこと[3]

 

 例えば2023年に稼得した国外源泉所得について2024年1月以降にタイに持ち込んだとしても、タイにおける個人所得税の課税対象にならないことが明示されました。同様に、2023年以前に稼得した国外源泉所得についてもこのルールは適用されませんので、少なくとも過去の所得に遡って課税される、ということは無いようです。

 

あくまで"所得"を対象としたルールであり、"所得"でなければ対象にならないこと[4]


 例えば、日本で債券を購入、利息を受け取っていた人が、債券元本と利息の両方の相当額をタイに持ち込んだ場合、利息のみが個人所得税の課税対象になる(債券元本については対象にならない)ことが明示されました。

 

どうすればよいのか


 まず、今回のアップデートにより個人所得税の課税対象となる可能性があった部分についてそうではない旨明示されたことから、基本的に日本人駐在員には良いアップデートということになります。他方、引き続き従前より課税範囲が広がったということには変わりはありません。


 また、タイの税務署がこの海外からの送金額をどのように捕捉するのか、であったり、送金額のうちどの金額を所得として判定するのか等、実務的にどのように課税がなされるのかにあたって重要な点が依然として不明になっています。


 このことから、今後も続報に留意をする必要があるといえるでしょう。本稿が皆様がタイでビジネスをする上での一助となれば幸いです。 



[1] Departmental Notification No. Por. 161(タイ語):

[2] 民商法典第41条に関するQ&A(タイ語):こちら

[3] Departmental Notification No. Por. 162(タイ語):こちら

[4] Departmental Notification No. Por. 161に関するQ&A (タイ語):こちら


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

「タイはなんでこんなに月次の決算が遅いんだ!」


「タイはなんでこんなに経理スタッフが多いんだ!」


 タイで働き始めた日本人の方とお話させて頂くと、このような課題を挙げられる方が多くいらっしゃいます。


 タイで決算が遅くなる原因は何か?


 社内業務の効率化に向けた予備知識として、知っておきたいタイの会計・税務を動画にしました。お時間のよろしいときにこちらもご視聴頂けましたら幸いです。



Comments


bottom of page