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AI時代に新卒一括採用は続くのか ― 日本企業が迎える採用戦略の岐路


AI時代に新卒一括採用は続くのか ― 日本企業が迎える採用戦略の岐路

新卒一括採用の現状と今後


 日本では6月1日は来春卒業予定の新卒採用活動の解禁日とされていますが、実態としてはすでに約7割の学生に企業側から内定は通知されており、新卒の採用協定は有名無実化していると言われています。しかし毎年同じ時期に新卒の採用スケジュールが今も話題になるのは先進国の中でも日本ぐらいで、多くの国では通年採用が一般的な採用方法であり、日本のように就職協定が企業側と大学側で論争になったりすることはまずないようです。


 さらに昨今のAIの急速な実用化が進むにつれて、従来教育目的も兼ねて新卒社員にアサインしていたようなエントリーレベルの仕事もどんどんAIが担うようになり、欧米では一流大学を卒業した優秀な学生がなかなか就職出来ずに若年層の失業率が高まる事態にまでなっています。企業間競争のグローバル化がますます加速している今、日本企業が今後も新卒一括採用を続けていけるか気にされている方も多いと思いますので今回はこのトピックについて少し考えてみたいと思います。


AI時代の新卒採用に合理性はない?


 「会議の資料を人数分用意しておいて」とか、「議事録まとめておいて」とか、少し仕事になれてくると「地域別売上と利益をグラフにして」とか、私も1年目にはよく先輩から指示されたものです。


 しかし今となってはこれらの仕事はAIが瞬時に正確に行ってくれます。難易度の高い会議の議事録作成も会議の終了と同時にAIが作成してくれるようになりました。もはや即戦力ではない社員の採用は売上見合いでの人件費を上げることにもなり、現場レベルでも経営レベルでも新卒一括採用は合理性が失われつつあるとさえ言える状況になりつつあります。


日米の新卒者の就職事情


 それゆえすでにアメリカでは大学卒業者の失業率は6%を超えており、全体平均が4%前後で推移している事を鑑みると近年最悪水準と言っていい水準です。経験者のみを採用対象とする企業が多くなり、一流大学を卒業してもそもそも最初の就労経験が積めず、無職のまま高額な奨学金ローンの支払いに苦しんでいる人たちも増えています。


 ビジネススクールやロースクールで学んだ知識を生かす仕事に就くことをあきらめ、建設現場等でのいわゆるブルーカラージョブを目指す人たちも増加している状況です。一方日本では大卒者の就職率は98%超、相変わらずの売り手市場が続いています。


日米のコスト構造の違いは明白


 ただし日本は今後もこのような状況が続くかというと、AIの進化は止まらないでしょうから先行きは極めて厳しいと言わざるをえません。全産業平均の営業利益率はアメリカが20%前後なのに対して日本は10%弱、日米のコスト構造は大きな開きがあります。


 日本の人口が減少トレンドなのはもはや転換できず、日本企業が成長するためには業種問わず市場を海外に求めるしかありません。コスト構造の差をそのままにして、グローバルな企業間競争に勝つのは至難の業とすら言えそうです。

 

2026年は採用戦略を考える岐路にある年と言えるかもしれない


 コスト視点では新卒者の採用は合理性が失われつつあるものの、人的資本経営の重要性をうたいながら他社で経験を積んだ人のみを採用するやり方は日本では社会からのレピュテーションはなかなか得られにくいと思われます。新卒一括採用が社会の安定装置となっている側面もあります。


 新卒者をどう育成して本当の意味で人的資本と変えて行けるのか、それともアメリカ方式に追随していくのか、多くの日本企業は新卒採用に関してまさに今岐路に立たされていると言えそうです。



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