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なぜ会計不正はなくならないのか ― 調査報告書から見える組織の問題


なぜ会計不正はなくならないのか ― 調査報告書から見える組織の問題

なぜ会計不正は繰り返されるのか


 最近、会計不正を報じられた某大手製造業の第三者委員会による調査報告書を読みました。会計不正にはいろいろなパターンがありますがその手口は昔からあまり変わらず、多くは売上を前倒し計上したり取引先との取引を偽装して水増しするか、計上すべき費用又は損失を先送りしたり資産化するような手法をとります。


 今回の調査報告書でも計上すべき損失を先送りしていた実態が赤裸々に語られていますが、どこの企業でも起こりうる話しだなと思いました。コンプライアンス重視、ガバナンスの強化が声高に叫ばれる今になってもどうしてそのような事案が何度も起きるのか、今回はご一緒に考えてみたいと思います。

 

経営トップは会計不正の指示は出していない


 10年近く前になりますが、この時も別の某大手製造業で会計不正を長年組織的に行っていた事案が明るみになり、社会的に大きな注目を集めました。経営トップが経営幹部に高い業績目標の達成を求めた結果、事業部の担当レベルでは不正をしてでも数字をよくすることが日常になっていった実態が様々報道されたのをよく覚えています。


 当時の経営トップは第三者調査委員会のヒアリングに対し、自分は一切不正を支持していないと説明していましたが、おそらく実際そうだったのでしょう。今回の某大手製造業の事案でも、赤字は罪悪(もっともこの会社の場合は営業利益率10%以下が赤字という扱いだったそうです)、ルール違反は犯罪と、経営トップが繰り返し幹部に指示していましたが、いつの間にか赤字は罪悪というメッセージだけが強烈に幹部以下の社員の頭に残り、正当な手段で業績目標を達成できなければ不正もやむなしという状況になっていたのではと推察されます。


業績不振よりコンプライアンス厳守を大事と心底考えられるか


 業績目標を達成さえすれば経営トップからも強く叱責されることを免れられるとの一心で会計不正に手を染めてしまうのは、後で発覚した時に会社だけでなく関与した人にも大きなダメージがあると社内で強く言ってくれる人がいないのは本当に悲しい事だと思います。経営トップが業績目標は必ず達成しろ、しかし不正は絶対に許さないと幹部以下の社員に要求するのは一見正しいメッセージに思えますが、誰もがそんな状況に耐えられるほど強くはないと思います。


 運が悪かったかもしれないし、または競合他社の方がいい製品やサービスを出していたかもしれない、担当者の能力が不足していたかもしれません。要因はいろいろあるにせよ、とにかく不正は絶対にダメ、でも正当な努力を尽くして目標が未達ならその責任は潔く受け入れるという思いを全員に徹底するのは高い業績を上げ続けるより難しい事なのかもしれません。


個人的経験


 私も営業成績を上げられなかったときに、それでも何とかしろという上司に抵抗して会社を辞めざるをえなかった経験があります。自分としてはベストを尽くしていると思っていたし、製品の価格体系が製品の魅力との見合いで競争力を失っていたのはお客様との会話でよく分かっていたので、何とかしろという上司は不正を強要しているとしか思えませんでした。


 それでも自分の努力を見てくれていた人はちゃんと外にいて、転職もすんなり決まって不正に手を染めずによかったと、今でも心底思っています。大手製造業の調査報告書を読んで、悲しい思いをした方がどれだけいるのかと想像すると何ともやるせない思いになりました。


信頼関係が一番大事


 上位層ほど、最終的には経営トップがいざという時には一番重たい責任を負ってくれているという信頼が社員になければ、社員は安心して本当の事を報告出来なくなります。業績が不振な時ほど、社員の経営幹部への信頼が試されます。某大手製造業の事案のような事態は社内の信頼関係が希薄になった企業ではどこでも起こりえます。社内の信頼関係が保たれているかどうか、特に経営幹部層の方々は常日頃留意する必要があるのかもしれません。

 


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