日本と違うタイの減価償却 ― 金額基準なし・耐用年数の基本を解説
- 深澤 チトラートン

- 14 時間前
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日本と似ているけど微妙に異なるタイの減価償却
日本からタイに赴任したばかりの方、日本の会計を中心に業務を行ってきた方にとって、「減価償却」は最初につまずきやすいテーマのひとつです。日本と同じ感覚で処理しようとすると、「金額基準が違う」「耐用年数の考え方が違う」と戸惑う場面も少なくありません。
タイ歳入局が公示している減価償却対応表をもとに、会計業務にこれから携わる方や日本からの出向者の方でも全体像がつかめるよう、内容を整理しています。
まずは「こういうルールになっている」というイメージを持つことを目的に、読み進めていただければと思います。
タイの減価償却は日本とどう違う?
最初に押さえておきたいのは、日本との制度的な違いです。日本では「10万円以上」など金額基準が明確にありますが、タイでは金額基準は法律上、存在しません。原則として「1年以上使用できるモノ」であれば、減価償却資産として扱われます。この点が、日本と比べた場合の大きな違いです。但し、実務ではあまりに少額なものまで資産計上すると管理が煩雑になるため、1年以上使用できる「1,000バーツ以上」のモノを減価償却資産として扱うケースも多いようです。
次に、減価償却費は資産の区分ごとの耐用年数について、日本の場合、減価償却資産の構造・用途・細目によって耐用年数は細かく規定されていますが、タイでは種類に従って、シンプルな耐用年数になっています。タイと日本で異なるものの一例としては、減価償却資産の「建物」に関して、日本では、木造、木骨モルタル造、鉄骨鉄筋コンクリート造、金属造の構造・用途に従い、細かく耐用年数(11年~50年)が設定されています。一方、タイでは20年の設定です。
タイ歳入局が公示する「減価償却対応表」
以下にタイ歳入局が公示している減価償却対応表を、保存・参照しやすい形でまとめています。予算計画書(減価償却費計算)の作成や会計処理を進める中で「この資産は何年で償却すればよい?」と迷ったときに、この表を見返してみてください。
資産 | 耐用年数 |
堅牢な建物 | 20年 |
仮設建物 | 1年 |
枯渇性資源の取得費用(石油、天然ガス等の取得費用) | 20年 |
書面によらないリース契約によりリースした資産 | 10年 |
書面によるリース契約で契約更新条項が無いもの又は契約延長に関する期間の限度を定めているもの | 更新期間を含むリース期間 |
ノウハウの使用料、営業権、商標権、事業許可、特許、著作権、その他の権利の取得費用で恒久的に使用出来るもの | 10年 |
業務フロー、手順、営業権、商標権、事業許可、特許、著作権、その他の権利の取得費用で使用期間に定めのあるもの | 使用期間 |
上記以外の資産で土地及び棚卸資産以外のもの | 5年 |
研究開発で使用される機械 | 取得日に取得価額の40%の償却及び残価は5年で償却 |
レジ機(Cash Register) | 取得日に取得価額の40%の償却及び残価は5年で償却 |
3人乗りの車またはバス (乗車定員10人以下) | 取得価額のうち100万バーツを限度として5年で償却 ※100万バーツを超える部分は損金不算入 |
パソコン及び関連機器(※中小企業) | 取得日に取得価額の40%の償却及び残価は3年で償却 |
パソコン及び関連機器(中小企業以外) | 3年 |
※中小企業とは、固定資産が2億THB未満、従業員数が200人以下の企業を指します。
まとめ
押さえておきたいポイントは、以下の3点です。
① 金額基準はなく、「1年以上使用できるかどうか」が判断の起点になる。
② 税法上は全額償却が可能であり、実務では帳簿上1バーツを残すケースも多い。
③ 資産ごとに耐用年数や特例的な償却方法が定められている。
細かな例外を覚えるよりも、「どの資産が、どの区分に入り、何年で償却するのか」を把握することが大切です。日々の会計処理や確認作業の際の手元資料としてお役に立てれば幸いです。
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